ニュース

新刊情報、イベント情報、その他お知らせ。

イベント

2013年2月9日投稿

つぶやき日記1月17日〜20日

1月
17日(木)ヤーウェの桜

わたスらプロテスタントは主と呼ぶのでなシ。(新島八重・談)

朝、起きて少し節々が痛む。氷道でスッテンする人々の姿をニュースで見て、これだから“内地”人は、と嘲笑っていたら、ゆうべ買物に出て、凍った路地で滑って見事にスッテーンと大開脚で転んでしまったのであった。再上京からも既に四半世紀、体も北国の人間では無くなっているか。

クルーグマンがアベノミクスはシャハト財政だ、と言っていたとか。ナチスの経済省だったヒャルマル・シャハトのフルネームはホレス・グリーリー・ヒャルマル・シャハト。ホレス・グリーリーというのはアメリカの著名な ジャーナリストで、シャハトの父親が尊敬する人物の名を息子につけたわけだが、名前だけでなく名字もまるごとというのは珍しい。

ホレス・グリーリーはユートピア思想の持ち主で、当時未開の地であった西部の地こそアメリカの理想郷と考え、「若者よ、西へ行け(ゴー・ウエスト!)」と唱え、流行語となった。

マルクス兄弟の映画『マルクスの二挺拳銃』の原題が『GO WEST』で、グリーリーのこの言葉からもちろん取っており、冒頭にその名も出てくる。
「1865年、ホレス・グリーリーは言った。“若者よ、西へ行け”。……これは彼にそう言ったことを後悔させた男たちの物語である」
さらに日本ではこの題名から、テレビ人形劇『飛べ!孫悟空』のエンディング曲のタイトルにもなった。

結局、シャハトの属したナチスは西ヨーロッパより東方レーベンスラウム侵攻にこだわりポーランド、チェコスロバキアくらいまではよかったが、ロシアにまで足を踏み入れて失敗した。「西へ行っていればよかったのだ」と、ホレス・グリーリーの名前を頭に持ったシャハトが思ったかどうか。

15時、家を出て六本木へ。昨年末収録した『時間ですよ』の、音足し録音。使う絵が増えたためである。中野坂上からタクシーで飯倉片町のスタジオまで。何かテンションが上がる。なんでだろうと思っていたが、途上、

「あ、これは三遊亭円生が『円生百席』録音で通ったルートじゃないか?」

と気がついて、ちょっとだけ興奮。



ディレクターさんたち一同、暮の騒動のこともあり、笑顔で迎えてくれて、一時間ばかり、気持よく音足し録音。ナレーション部分は楽だがトークの録り足しは難しい。あの時どんな調子でしゃべっていたか、テンションを思い出すのにちょっと手間取った。


一昨日がテレビ収録で昨日がインタビュー二本、今日がスタジオで音録り、明日が森下で辻先生とトークというのはいかにも松があけた感のある慌ただしさだが、いずれも拘束は二時間程度。会社勤めの人に比べたら楽なもの。そのかわり書き下ろしに突入したらこうはいかない。

鳩山元総理、「尖閣は係争地である」とかの国の高官に明言とやら。期待にたがわぬポッポぶり、ここまでキャラクターに忠実な人間もいるまい。ちょっと帰りにアルジェリア寄って人質の身代わりになってきたら許す。

食べたもの。朝:ロールキャベツ、味噌汁(従兄弟の奥さんの自家製味噌で旨し)、果物。昼:鶏ダシでラーメン。豚タンだの鯨皮だののラーメンに慣れすぎて、鶏ではもの足りず。夜:焼肉、タラバガニ、ミニトマトアイコ。エール、発泡酒、黒ホッピー。酒にこのところ弱くなったか?

18日(金)慈恵医大のエレベーター

医療ヌーベル・バーグ

朝、がばと跳ね起きて枕元のメモ帳つける。春の公演のアイデア(22日までに劇場に出さねばならない)、やっと出た。思いついた時はかなり興奮していたが、改めて読み直すと(面白いアイデアなのだが)4月にはちょっと荷がかちすぎるかな、という感じ。うーむ。

TBSから電話、ひるおび、来月の収録の件。前回はあのコーナーで数字がハネ上がったそうだ。その前が確かアルジェリアの人質問題だったから、主婦は興味なかったんだろう。うーん、それも問題っちゃ問題。

昼、某人から5ヶ月ぶりに連絡。何で連絡途切れたかもわからず。変にこちらから何か言ってもこんがらかる(前にもこんがらかった)ので、こっちから何も言えず。

5時過ぎ家を出て、森下へ。森下文化センターにて講座『辻真先が案内するミステリの世界』第四回『漫画・アニメの中のミステリ』の聞き手を務める。今日の昼はその下調べに費やした。

地下鉄利用で乗換えだが、大手町でトイレの矢印案内表記ありながら、行って見ると改札内であったのに呆れる。古い路線の駅にはこういうお役所時代のなごり、ままあり。

雪のまだ残る森下を歩いて文化センターへ。楽屋ですでに辻先生、メモリーバンク社のW氏いらっしゃる。W氏、メモリーバンクというご自分の社名伊達ならず、何訊いてもたなごころ指すが如くスイスイと答えてくれる。辻先生も全く記憶にない、という『名探偵マイクロ太』も、その連載の裏事情含めて教えてくれる。私じゃなくてW氏と対談すればいいのに、と思うが、そうすると受講者は完全においてきぼりだろう。

1時間半ほどの講座、何とか無事、笑いもとって務めを果たす。W氏、聴講してくれたTくんと共に、先生のお誘いで、森下の刺身居酒屋に。話はずんで面白し。

先生から、
「12月公演はお誘いがなかったが」
とお叱りを受ける。
うわあ、ミステリ劇ゆえに前回はお誘いしたわけで、まさかその他のも観てくださるおつもりだったとは。恐縮。先生、こっちが話に夢中になっている間に支払いもすませてくださり、さらに恐縮。

食べたもの。早朝:安売りのメロン、深川飯のおこげ。朝:マグロ山かけ、はさみ漬。はさみ漬はお菜には不適だがお茶うけとしてよし。果物。昼:コンビニのカツカレーに目玉焼きトッピング。夜:トークの後刺身居酒屋。先生八十代で日本酒飲まれること。W氏もしかり。Tくん飲まないので、私ひとりで酒豪二人にお付き合い。

19日(土)私には・ネルフなんか恐くない
綾波レイ・談

朝4時起きて仕事、朝食とってから二度寝、というパターン。二度寝で見た夢、私は巡回歌舞伎の一座に役者として入っている。ドサ回りだがこの一座には『屋台崩し』というお家芸があり、舞台上のセットに布一枚巻き付けてひょ いと引くだけでバラバラにしてしまう。私は別の一座からその技法のスパイに来たのだが、実際に見て、これはなまなかなことでは真似出来ない、と舌をまく。

週プレインタビュー原稿チェック、やはり暴走した部分カット。ただ編集さんから「企画書お待ちしてます!」との文言メールであり。さて実現率どれくらいか。

外出時の防寒に、いわゆる伝統的な白のステテコを着用していたが、通販でいいのがないので、仕方なく黒のニットのハーフインナーなるものを購入、ケッ、スカしやがってと思って着用したらこれが肌触りといい温かさといい極めて心地よく、ああ、やはり新しいものはいいなあとすぐ宗旨替え。


昨日、森下文化センターで展示準備中の『永遠の少女マンガ展』をちょっと見せてもらった。三原順『ビリーの森ジョディの樹』の原画を見て、これは魂を吸い取られる仕事だと思った。こんなレベルの作品を描いていたら絶対早死にします。若い人たち、真似をしてはいけません。

三原順さんも佐藤史生さんももういらっしゃらないんですよねえ」
とつぶやいたら辻先生、

「えっ、佐藤さんも亡くなったんですか?」

と絶句されていた。手塚御大を実例として、マンガ家というのはかなりデンジャラスな職業のうちに入る。

『ホラー映画100年史』DVDを見ていたら、ホストのクリストファー・リーが「怪獣映画」のことを「カイジュー・アイガ」と言っていた。「eiga」の「ei」をイギリスでは(ことに下町のコックニー発音では)「アイ」と発音するのですね。『マイ・フェア・レディ』でイライザは「スペインの雨」を「ザ・ライン・イン・スパイン」と発音していた。リーは下町生まれではないはずだが・・・・・・。

〈訃報〉「大鵬」こと納谷幸喜さん72歳、第48代横綱 。訃報日記で「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉を挙げて賞賛している人がいるが、あれは「強ければいいという単純な子供っぽい嗜好」を揶揄したもので、決して誉め言葉じゃない。評論家の赤塚行雄が昔『少年マガジン』で、渋好みを気取る大人を“近鉄・清国・冷や奴”と揶揄し、
「強いものが好きというストレートな嗜好のどこが悪いのか」
と反論していた。当時は少年マガジンって、そういうコラムもある雑誌だった。

昼は冷蔵庫、冷凍庫の中身を片付けようと炒飯。入れたもの、鶏ひき肉、豚ひき肉、ベーコン、ちくわ、長ネギ、ニンニク、卵、ピーマン、パセリ、シャンツァイ。さらに冷凍してあった羊肉餃子まで。食って数時間、腹が重かった。

http://togetter.com/li/441541『橋下市長に「正しいポジション」を取られて、さてどう戦うのか?』なんかこの件に関しもやもやしていた所以をきちんと説明してもらった感じ。これに限らず、橋下の頭のいいところは、右寄りのくせに戦法が左翼のそれであるところ。

それとは別のこととして、私は今回自殺した生徒、もし空からこの件の推移を見ていたらガッツポーズしていると思う。自分をいじめた教師、高校に対する「復讐としての自殺」としては(けしてそのための自殺ではなかったにせよ)完全にその目的を達した。これだけ「成功した自殺」は珍しい。


それだけに、世間がこの教師を叩き、高校を、体罰という行為を叩くのを見て、全国の自殺志願者を勇気づけないか、とちょっと心配なのである。

「自殺したって状況は変わらないよ、生きて戦わないと」

というはげましが無効化されてしまう。
橋下市長の今回の決定は、 自殺の有効性をはからずも証明してしまったんじゃないかと思えるのだが、考え過ぎだろうか。

食べたもの。朝:スッポンスープの雑炊。果物。昼:炒飯、ギョウザ。いずれも冷蔵庫、冷凍庫の中のもので。夜:くーぷいりちぃ、桜えびマスカルポーネ和え、ホタルイカ。エール、黒ホッピー、緑茶ハイ。

20日(日)司馬史観殺人事件

「そもそも支倉君、この、まことに小さな国が開花期を迎えようとしているのだがね」(法水麟太郎・談)

今朝の夢。夜道を歩いていたら伯父から電話。電話したのに返事がないと怒っているが、もらった記録もないし、第一入れ歯の具合が悪いのか、酔っ払っている のか、何を言っているのかよくわからない。これは話が長くなりそうだなぁ、弱ったなぁと思っていたら目覚しのアラームに救われた。

人質23人が死亡とアルジェリア内務省発表のニュース。思わず天をあおぐ。昨日の自殺抑止の記述でも書いた、テロに対し「やっても意味がない」と思わせるための武力行使だろう。自国の人間を自国で守れぬ日本はただ黙るしかない。安倍首相がかなりきつくアルジェリアに詰問した、というニュースがせめてもの慰めか。

天然資源のない日本では誰かがこういうリスクを背負わねばならない。そのリスクを軽減するために原子力を使おうとすればまた誰かがヒステリックに反対する。原子力のリスクを言う者たちは、自分が行く気づかいのない天然資源確保のためのこういうリスクを言いたがらない。

遅れている、オモテの日記へのつぶやきのアップ、やっと2012年が終った。芝居のことに関しては、書いても書いても終らないのである。

http://www.news-postseven.com/archives/20130120_166663.html 『米中韓と比較すれば「日本は飽食の国ではない」と専門家指摘』などという記事を読みつつ、冷凍庫に保管していた鍋の残り汁をつかったうどんすすりこむ。

寒中見舞いの印刷データにチェック入れ。飲み会の日時設定。いろいろと雑用、あるある。

6時、池袋にて掛札昌裕先生との飲み会。交差点のところで先生に声、かけらる。広告代理店にお勤めの息子さんが私のファンだとやら、先日の『ひるおび!』見てくださった話やら。

居酒屋にてTくん。中野監督は風邪で欠席。遅れて樋口真嗣監督いらっしゃり、特撮のことなどで話盛り上がり。楽しく時間を過ごす。倉田準二監督のエピソードなどうかがう。欠席の中野監督からTくんに口伝えで、郷英二のエピソードなども(中野さんらしい)。

9時解散、樋口監督といろいろ雑談しながらJRで新宿まで。ちょっと用足しして、それからタクシー。

食べたもの。朝:牛肉(お歳暮にもらったものの最後の残り)焼き、味噌汁、果物(イチゴ、ミカン)。昼:うどん。冷凍庫にあった鍋の残り汁数種を混ぜてツユとする。奇妙な味だが食えるっちゃあ食える。夜:掛札昌裕さんとの飲み会。樋口監督らと。話に夢中で、飲むばかりであまり食わず。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa