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2012年8月4日投稿

つぶやき日記7月27日〜31日

7月
27日(金)チュウネンンブトリの日記
○月×日、夜食にラーメンとビール

ビジネスメールの文案を考える夢をずっと見ていて、結局起きてその通りに書き出しの部分を書く。暑くて寝苦しいからだろう、最近、夢と現実が起きてからしばらくゴッチャになること多し。寝ているつもりで寝ておらず、いろいろ考えているのだと思われる。サテ苦労性な。

暑い暑いと言いながら、冷夏だと人々はがっかりする。小学生のころ、「人生というのは夏を過ごすためにあるのではないか」とぼんやり、哲学みたいなことを考えた。「暑い、暑い」と文句を言いながら、人は何故か生きている喜びみたいなものを感じる。生きるために気力を必要とする時期だからだろう。気力を出せば快感も感じる。この快感を味わいたいがために、春を花見で、秋を月見でごまかしながら過ごすのだろう、と思ったのである。

ついでにもう少し哲学的なことを。談志は圓生に、「師匠は若いうち売れなかったけど、俺は若いうちから売れた。生涯通じてみると俺の方が売れてますよ」と言い放ったという。いかにも談志らしい自負で痛快だが、とはいえ、圓生はあの三遊協会騒動の中、責任感と緊張感から、『御乱心』を書いた圓丈でさえ「この騒動でよかったことは、圓生の芸が上がったことだ」と評価しているくらい最晩年、名人としての輝きを保ち、死のその日まで落語を演じて死んだが、談志は晩年の数年、落語家にとって致命傷の喉頭ガンにかかり、全く高座に精彩が無かった。さて、落語家としてどちらがその一生をまっとうできたと言えるか?

数日がかりで解凍したラム骨無しもも肉2キログラムを解体。まな板の上に積み上げられた肉片の山を見て連想するのは、『2001年宇宙の旅』の、猿人たちがむさぼり食う生肉。

一部をステーキ用にマリネ。一部はカットして再冷凍、さらにミンチしてギョウザ用に。残りは茹でよう。

……と、いうわけで本日食べたもの。朝:セロリ炒め、タラコ、ご飯、スイカ。昼:夏バテで抜き。夜:ラム茹で肉、イカソーメン。茹でて肉は特性タレ(醤油、ゴマ油少々、ゴマ、ニンニク、こーれーぐす、ネギ)で。美味し。

28日(土)君が嘘をツイッター
トレンディドラマ時代にツイッターがあったらまたややこしい話に。

朝から暑い。完璧な夏バテ。芝居の疲れがここで出たか。体力が落ちるのはいいが鬱状態みたいになるのが困る。塩が体に不足するためか。朝食はカブの葉を使った焼きそば。抹茶を炭酸で割ってみるが、暑い日にはなかなかよし。昨日思ったように、鬱というのはそれを克服すると今度は快感になる。克服できれば、の話だが。

朝、先日相談に乗った某氏から電話。なかなかうまく行ってないというか、それはそれで興味深い状況のようである。

12月の芝居の基本予定を立ててみる。プレ公演的位置づけになる『タイム・リビジョン』がSF、第一回公演の『楽園の殺人』がミステリ。で、三回目はスパイ・アクションになる予定(ホンマか)。題名・内容などはもう固まっている(なにしろ劇場であるTACCS1179は予約時に公演企画書を出さないといけない)のだが、発表はもうしばらくお待ちを。

手近のダンボール箱から出てきた『ドリトル先生航海記』を久しぶりに読んで、その古風な文章にしみじみ酔う。しかし、子供の頃から、ドリトル先生は動物と話ができるのに、なぜ好物が豚のあばら肉だったりできるのか、疑問だったなあ。

豚ならぬ羊のあばら肉を今日はたくさん食べた。昼はおろしタマネギとリンゴ、ニンニクに漬け込んだものを細切りにしてピーマンと炒め、酒、醤油、少々のみりんで味付けしてご飯の上に乗せてラム丼。うめえ(羊だけに)。夜はミンチ肉でギョウザを作り、焼いて食う。甘みがあってウマ(羊だが)

ギョウザをアテに、家にあった安紹興酒をロックでやるが、ホコリぽくて閉口。いつの間にか紹興酒に関しては口がおごってしまった。

今日、ちょっと驚くニュースを聞いた。感動的な話ではあるのだが、それが身近で起こるとは。エラいなあ、しかし。まだ公表の段階ではないのでしばしおあずけ。

29日(日)最近の若者はトリンドル!
あんなコムスメに血道をあげおって。

朝、本日も体調極めて不安定。寝汗もかけてなかったので、体内の水分バランスが崩れたようだ。眩暈もするが、起きたときより、寝返りを打ったときの方がひどい。ジェットコースターに乗ったみたいで面白いがw

それでも、昼には何とか快復。今日は3時から下北沢で『あぁルナティックシアター』バリュー公演『3』の千秋楽。昼飯を下北沢で食おうと思って出かけたが、なんやかやで到着がギリギリになってしまい、結局悔い損ねる。まあ、そう食欲もなかったが。

『3』というのは、40分ほどのショート芝居を、演出を変えて3通りに見せるという趣向である。千秋楽は3本まとめて観られる。松ちゃん、岩田さん、みよちん、暁くん、それにパントマイムの鶴岡くん久しぶり。

詳しくは観劇日記で書くが、最初の演出の岡田がオーソドックスに、次の佐々木テリーが佐々木らしく投げやりかつスピーディーに、そして最後のハッシーがミュージカル調で処理。飽きずに楽しめた。ちょっと凝り過ぎの気はあれども、いかにもハッシー好みの企画。

終って、松ちゃん(12月公演に誘っている)から、ちょっと飲みませんかと誘われる。外に出たところで、「カラサワさん!」と声をかけられ、みたら何と『鈴木タイムラー』でご一緒していた金剛地武志さんだった。背中にギターをかついでいて(エアギターではない、本物だった)、ライブの打ちあげにいくところだと言う。久闊を叙して、お互いの芝居の話など。金剛地さんも今度楽園に出るらしい。

松ちゃんと居酒屋で二時間ばかり。『楽園の殺人』の私の演出について話す。ちゃんと、意図がわかってくれていることを知って、しかも久保も同じ意見だと言うことを聞いて、ちょっと涙が出そうになる。特に、カーテンコールの並びで最初に私がやろうとしていたことをこの二人が理解してくれていたのが嬉しい。要は、ミステリ劇と普通の演劇の違い、である。12月公演への参加も了承の答えを得て、力入る。

松ちゃんと別れて土間土間での打ちあげに参加。久しぶりに劇団員たちとワイワイと。さらにと学会で私やルナの映像記録制作担当のOさん、暁雅火くん、それから岩田真さんなどとも。朝までコースだと体力消耗ハンパないので、終電で帰る。岡っちが送ってくれた。本当に気のいい親切な男だなあ。役者として、その気のよさが弱点にならないよう、フォローしてあげたいが、自分にその力量があるか?

本日食べたもの。朝:新ゴボウのきんぴら、味噌汁。スイカ。昼:夏バテにつき抜き。夜:居酒屋で角煮、ジャガイモのチーズ焼き。それから打ち上げで塩キャベツ、からあげ、シャカシャカポテト、炙りシメサバなど。

30日(日)ジジネタ
「お前、まだ『魔女の宅急便』しかアニメネタないのは遅れてるで」

以前ちょっと仕事した人物からクダクダとしつこく電話。なんだか妙になつっこいことを言われる。こういうゴロ的な男、きっぱり排除出来ればいいのだが、明日は我が身とも思うと……。

1時半、新宿。珈琲西武にて打ち合わせ。なかなかスムーズには進んでいないようである。もどかしいところ。ちょっとこちらの方からもあつかましいお願いを。迷惑かけるなあ、とモヤモヤ残したまま、別れる。

帰宅、少し横になる。起きだしてDVDで『白鯨』(1956年。ジョン・ヒューストン監督、レイ・ブラッドベリ脚本)の冒頭の、ニュー・ベッドフォードの宿屋兼居酒屋で、鯨捕りたちが歌う歌を聴く。こないだ『楽園の殺人』で使う曲を選ぶのに何十曲も聞いたイギリスのクラシックの中に、この曲をモチーフにしたものがあったので記憶に残っていたのだが、これはスコットランド民謡で『A-roving(さすらい)』という曲。古くから船乗りの歌(シー・シャンティ)として広まっていた。

アムステルダムで出会った金髪の娘に惚れた船乗りが、もうさすらいの日々はやめにする、俺はもうこの娘の元から離れない、と歌う歌詞だが、映画では、年老いた船大工が、最初静かに始まるこの歌の歌詞にしんみりと若い頃を思い出して、それから新米の船乗りたちに「もっと景気良く歌え!」とハッパをかけてテンポが上がってどんちゃん騒ぎになっていく。一生をたぶん、さすらうままで終るだろう船乗りたちがかなわぬ希望を歌に託している、いいシーンである。

ところで、原詩にある「In Amsterdam there lived a maid」のmaidだが、これは女中ではなく、古語で「娘、処女」の意味。船乗りがmaidと口にすれば、絶対mermaid(人魚)を連想するだろう。そして、人魚は中世からギリシア神話のセイレーンと混淆され、さらに言語的に“売春婦”のイメージが付随した。人魚はその歌で男たちの心をとらえ、歌とは逆に破滅させてしまう。ヒューストンとブラッドベリがこれを冒頭のシーンで歌わせたのは、白鯨ことモビィ・ディックに心を奪われ破滅するエイハブ船長に仮託しているのではないだろうかとぼんやり思う。

友人が福島を旅行してつぶやいていたが、飛び込みで入った福島駅東口の寿司屋のおかあさんの、「福島の人は宣伝が下手なので、今回のことで有名になってよかった」という言葉に一驚。前向きにもほどがある意見だが、そういう見方をしている福島県人もいるということだ。

食べたもの。朝:チキンレバーサンドイッチ、オレンジジュース。昼:打ち合わせ後に万世のハヤシライス、温玉をトッピングして。夜:ラムステーキ、タモギタケのスープ煮、トウモロコシ、トマト。酒はテーブルワインを炭酸で割って。

31日(月)あまくだり寿
天下り決定ですか、それはおめでたい。

朝、部屋がゆがんで全てがこちらに迫ってくる夢を見た。ダリの絵みたいで、非常に面白かった。体調不良なればこそ、こういう感覚も経験できると思うと夏バテもあながち捨てたものでもない。

シャワー浴びてべとつく寝汗を洗い流した時点でかなりスッキリ。朝食も残さず完食。ただ、寝不足気味なので朝食後、冷房入れて少し寝足し。

ロンドン五輪、ウェイトリフティングの三宅宏実選手の銀メダルが話題。東京オリンピックのとき、伯父である三宅義信は本当に日本中の人気をさらっていた。もう東京五輪など昔話だと認識していたのだが、こうやってみると、まだその間に一代しか世代は変わってない。何かロートル意識のなくなるニュースである。

その東京五輪は1964年。オリンピックばかりか、新幹線が開通するわ総理大臣が池田隼人から佐藤栄作に変わるわ、まあ、お祭り騒ぎのような1年だったろうなあ。怪獣マニア的に言うとこの年は東宝特撮映画の絶頂期であり、1年のうちに『モスラ対ゴジラ』『宇宙大怪獣ドゴラ』『三大怪獣地球最大の決戦』の三本が公開されている。おまけに『007危機一発(ロシアより愛を込めて)』のヒットにより、スパイ映画ブームも巻き起こった。高度経済成長と冷戦。この2つが怪獣や秘密兵器を駆使するスパイという形に姿を変えて大衆の心を捉えたのだろう。

その007がらみで思い出したが、今回の五輪の64年前、戦後まもない
1948(昭和23)年のロンドン・オリンピックでやはりウェイト・リフティング銀メダルを取った選手がいた。日系ではあるがアメリカ国籍のその選手の名前はトシユキ・サカタ。やがて彼は生まれ故郷のハワイでプロレスラーに転向。悪役日系レスラーで顔形の似ているグレート東郷の弟というギミックで、トシ・東郷と名乗り、トーゴー・ブラザーズのコンビで、カナダ・タッグ選手権も保持した

慈善団体の招きで日本にもチャリティ興業で遠征したことがあり、そのとき、酒場で生意気な若造がケンカをふっかけてきたのを軽くあしらった。
この男と彼はすぐに意気投合し、トシ東郷は彼にプロレス入りを強くすすめる。その男の名は百田光浩。力士だったがその直前にトラブルを起こして髷を切っており、力士時代のしこ名は力道山と言った。力道山は彼の招きでハワイにやってきて徹底したトレーニングを受け、帰国後国民的スターレスラーとなる。

トシ東郷はやがてグレート・東郷と別れ一本立ち。本名の坂田をとってハロルド坂田と名乗っていたが、1960年代はじめ、ロンドンで行った試合後に、控室にやってきた二人組の怪しげな男たちに声をかけられる。
「……実はいま、映画に出てくれるタフガイを探しているんだ。どうだい?」
この二人、ハリー・サルツマンとガイ・ハミルトン。映画『007/ゴールドフィンガー』のプロデューサーと監督である。彼はその映画に敵役ゴールドフィンガーの用心棒、オッド・ジョブ役で出演して世界的人気を得る。だが、かつて自分がプロレス界に勧誘し、英雄となった若造は、ついにその、自分の師匠とも言うべき坂田の雄姿をスクリーンで観ることはかなわなかった。映画の公開は1964年(日本では65年)だが、力道山はその前年、1963年に赤坂で暴漢に刺されて命を失っていたのである。

48年後のロンドン五輪開会式ではダニエル・クレイグ演じるボンドが登場。ボンド映画も50周年を迎える。そういう意味でいろんなことを今回のウェイト・リフティングでは思い出してしまった。

本日は朝は卵焼きとキンピラでご飯。昼は卵かけご飯にノリの佃煮。夕方、銀座へ出る。コリドー街のタイ料理店『バンコクキッチン』に、島さんに招かれて。このあいだの芝居の話、それから某企画についての話などいろいろ。生春巻、タイ風サツマアゲ、蒸し魚など。トムヤムクンと〆のカニチャーハンが絶品だった

Copyright 2006 Shunichi Karasawa