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2012年7月3日投稿

つぶやき日記6月28日〜7月2日

28日
『立川流騒動記』、そろそろ並んでいる書店もある模様。しかし、つくづく当時の落語界は面白かったなあ、と実感。私と著者の談之助は5歳の年齢差があるが、これに関してはそれだけ早く、この黄金期に間に合ったということで、うらやましくて仕方ない。

28日
『白い巨塔』(大映・1966)の大河内教授の司法解剖シーン、肝臓に解剖刀を入れる場面でつい時節がら「レバ刺し食べたいな」と思ってしまう。

28日
卯月妙子『人間仮免中』読む。幸せになってくれ、幸せになってくれと願いながら読んでいて巻半ばの展開……うーん。こういう人は幸せの中で自分の幸せであること自体に不安になり、自殺行動をしてしまうのか。

思えば12年前(2000年)の『実録企画モノ』は尋常ならざる傑作であった。その刊行後、コミケの私のブースに尋ねてきてくれた作者と話したことがあったが、そのとき、オーラというものはこういうものか、と思ったくらい、はっきりとその人の周囲に立ち上っている「尋常人でない輝き」が見えたものだ。

その後、そのオーラあるが故に著者は一般の人と一般の世間で一般の交わりを営むことが出来ず、どんどん生き方をズラしていった(ズレて行かざるを得なくなっていった)。そして、ついにストリップ劇場での公開首切りというところまで追いつめられたように思う。強すぎる個性を持つこともまた不幸なのである。

この『人間仮免中』はいわばその後日談というもの。絵がずいぶん簡略化されたのは、著者の「枯れ具合」のいい方向への現れかな、と思い、25歳年上の恋人・ボビーとの生活で落ち着いていってほしい(そっちの、ちょっと奇妙なカップルネタで終ってほしい)という期待を持って読んでいたのだが、この著者の作品がそんなことで終るわけはないのだった。愕然。

しかし、顔面が崩壊して一命をとりとめた後の、幻覚症状を乗り越えての作者とその周囲のポジティブさには感動せざるを得ない。私や私の周囲の人間なら簡単に「死んだ方が楽になる」と考えてしまいそうだ。これは大いなる人間賛歌でもある。

……しかし、普通の人間であればとても生きていけないであろう過酷な体験をしてきた(しつつある)娘をささえ、作品中では常に彼女をはげまし、明るく統合失調症という病と対峙してきた母親が、最後に鬱病になったという記述があり、この後日談が非常に気になった。やはり周囲に犠牲は出てしまうのだろうか。

28日
食べたもの。朝:アスパラガス炒め、納豆、リンゴ。昼:日清のシーフードライス。夜:稽古後、荻窪のお好み焼き屋でミックス玉、モダン焼き、やきそば。梅干しハイ。

29日
銀行ATMの「生体認証機能」というのは日常にある単語の中で最もSFっぽいものではあるまいか。ちょっとバイオホラーも入っているが。

29日
昨日、快楽亭ブラックから電話。『立川流騒動記』刊行記念に、大須演芸場で落語会をやらないか、と。私としては異存なし。まだ話は固まってないが、8月末の予定。半ばはコミケがあるので、と言ったら、どうせ大須の8月半ばは怪談特集でわれわれはハジかれる、とのこと。そっちも興味あるのだが。

29日
朝、体調極めて不良。昼、やや持ち直す。夕方〜夜、元気いっぱい。どういう体調推移だ。

29日
『楽園の殺人』稽古、休み多くシーンブツ切れのまま。全体の形まだ見えず。私は大丈夫と踏んでいるが、私のやり方に慣れていない一部役者さんたちが不安がっているのが心苦しい。何とかしようと思うが、どっしりかまえていないといけない私自身がその伝染でちと不安になっている。

29日
小野ヤスシさん、食道がんで死去。72歳。初めて存在を知ったのは赤塚不二夫のマンガの中。テレビで「鳥取県が生んだ最大のゲージュツカ」としゃべっている男がいて、見ている男が「ゲラゲラ。こいつらおもしろいなあ」と笑っている場面があって、その時はドンキーカルテットのことも全く知らなかったので、こいつは誰だ? とむちゃくちゃに気になったのが最初だった。後にタモリを生む、赤塚不二夫の芸人との交流の初期メンバーだった。ドリフターズとの確執は、結局、「お笑い」というカテゴリの外に出たがったいかりや長介と、そのカテゴリの中でのトップをめざした小野との対立だったのだろう。

29日
食べたもの。朝:焼き豆腐、漬物、味噌汁。果物。昼:シューマイカレー。夜:レタス、タモギタケ、ソーセージのスープ煮。シマチョウ焼き、桜エビ。ほろ酔いサワー、黒ホッピー。

30日
早朝ネットを見たら地井武男さん、死去。70歳。私は散歩こそ健康の源、と思っているのに、その本家本元がこう簡単に亡くなっては困る。以前NHKの廊下ですれ違ったとき、大声で「おはよう! しっかり頑張ってるかい?」と声をかけられビックリした。もちろんまったく顔見知りなどではない。元気な人だなあ、と感心した。この人に病気での若死には似合わない。
http://togetter.com/li/328951?そして沸いてくるこういう馬鹿。

30日
朝起きて朝飯食って、すぐベッドにもぐり込みたくなるくらい、体力気力、午前中は不安定。気圧のせいもあるか。『人間仮免中』読んだ後では軽々に死にたいなどと口に出来ないが、体力が不足することだけは避けたい。体力と気力は表裏一体、つながっているのだ。

それが急に元気になったのは、今日はこれから新橋まで行かねばならん、というその遠出のかったるさからだった(映画の特別上映会に行く)のだが、それがカンチガイで、新橋でなく阿佐谷だとわかったため。なら近いじゃないか、と思ったとたん、とても嬉しくなった。

で、ザムザ阿佐谷で林由美香主演『愛欲の宇宙戦争』観てきた。なんで時代設定が明治? と思ったが、なるほど、ウェルズの『宇宙戦争』の日本でのエピソードなわけね(それを出演者たった3人で描こうというのがいい度胸だ)。あれが19世紀末でちょうど明治の話なのだ。残念ながら襲ってくるのはウォーマシーンでなく、女性器を思わせるようなデザインの円盤。造型は品田冬樹(!)。

30日
稽古、ちょうど迷いの時期。みんな台本を離し、自分のアタマの中に入れたセリフを思い出し思い出ししながらしゃべるのでテンポがぐだぐだになる。とはいえ、この迷いの森を抜け出さないと芝居は形にならない。主演の小林直人くんから提案あり、まかせる分はまかせることにする。久保の役、アドリブが毎回爆笑。

30日
食べたもの。朝:豆腐ステーキ。昼:阿佐谷でメンマつけめん。夜:稽古後荻窪の中華『胡同101』でピータン豆腐、鉄板餃子、卵炒めなど。ビールのみ、紹興酒とかは飲まず。

1日
午前中、ずっとmixiが不調。うるう秒のせいか? そう言えば昨日、ザムザで気がついたが腕時計(デジタル)の数字がすごい勢いで動いていて、うわ、壊れたと思ったのだが、後でみたら直って正常な時間に戻っていた。あれは何だったのだ? 自動時間調整装置つきだったか、この腕時計? そんな高級品じゃないぞ?

1日
寝る前に台本を読んでいたのだが、スジがどうしてもつながらない矛盾を発見、うわー、こりゃ大変なことになった、と七転八倒。解決策を頭をひねって考え出し、よし、と朝早く起きて台本をもう一度読み返したらちゃんとつながっていた。あれは夢だったのか? とにかくそれでフテて二度寝してしまい、予定大狂い。

1日
某件でちょっとトラブル発生。もっと早めに処置しておけば、と悔やみつつ、しかし火事場の馬鹿力発揮し、なんとか解決。ホッとするが、この馬鹿力あるによって俺は地道な努力をしようとしない性格になってしまった気もしないではない、と苦笑。

1日
小雨の中、あわてて稽古場。いったら誰かがもう先に来ており、声をかけたらうちの出演者ではなく、ルナの佐々木テリーだった。上の階をルナが借りているのだった。音響の星くんと一緒に音指定しつつざっと通し。

8時ころ、明日の衣装撮影の下見にベギが観に来る。とはいえベギが衣装を担当した高橋明日香ちゃんは今日は休み。依然、テンポ悪くなかなか気分のらず。

稽古終わり、比内焼き鳥の店でみんなで飲む。小林さやちゃん(シンガーソングライター)、他の役者さんたちのうまさに驚いていた。今日は歳岡孝士くんからちょっと提案。ありがたし。

1日
http://jump.cx/1NCju「茨城から相模原に避難した母「放射線量が高い日光の修学旅行に子どもを行かせなかった。『変な親』にならなければ子どもは守れない」」表題より、地井武男人体実験説の方がヒドい。mixiでチェックしようとしたら「不正な投稿のためチェックできません」の表示が。ま、その通りだがw

1日
食べたもの。朝:レタスと筍のオイスターソース炒め。昼:大福一個。夜:荻窪『比内屋』で鳥刺し、串焼き、鶏とブロッコリマヨネーズ和え、きりたんぽ焼きなど。梅干しサワー数杯。

2日
いろいろ考えまとまらず、朝の食欲ちょっと減。とはいえバテてはいられない。そうしたら元気出る報告、『立川流騒動記』売れ行き状況、かなりいいとのこと。これでだいぶ気分が楽になる。談之助さんに電話。

2日
もひとつ、水谷紹さんからの舞台用音源、なかなか届かないのもイラつき原因だった。一件、郵便局留めの郵便物があり、送り主名が違うのだが、ひょっとしてこれかも、と今朝、局に確認に行こうとして出がけに郵便受けをみたら、届いていた。ホーッ。

2日
新宿に出て舞台用小道具ひとつ調達、それから渋谷で役者さんたちと待ち合わせ、バスで池尻のスタジオへ。小道具(劇中の劇団による舞台のポスター)撮影。衣装をつけての撮影なので、みなさんノること。小さなスタジオだが、いかにも世田谷らしい、いい感じのところ。

その最中に、やっと会社関係で動き出したという報告、Mさんからあり。これでまたひとつストレス解消。会社設立と舞台公演準備を平行してやることにはムリがあった(しかもプロデュース本の刊行まで!)Mさん、最近のこのつぶやき日記読んだらしく、「倒れないでくださいね」と。こっちこそ、Mさんの目の回る忙しさも知っている。やはり気力は体力が基礎だな、と思う。

実は渋谷東急で今日の撮影のときみんなに差し入れしようと買ったお菓子をそっくりバスの中に措き忘れてしまい落胆していたのだが、これが厄落としになったかな、と思う。ま、結果論であるがものは考えようだ。

撮影、5時までなんだかんだでかかり、あとはベギにまかせて荻窪の稽古場へ。照明助手の森ちゃん来て、通しを彼女に見せる。「今日のテーマはテンポ。とにかくチャッチャと前に進めましょう」と指示。役者さんたち、徹底して自主稽古してくれたとみえ、昨日までとは格段の上出来。そして、時間計りながらやってみた結果、稽古当初より30分以上上演時間が短縮された! これは大いなる希望。これで後は演技や表現を自由にノセていくことが出来る! やっと長い迷いの森から抜け出られた気分。

とはいえ、やること山積。今日は飲まずに自宅へ直行。連絡をあっちゃこっちゃにして、明日のスケジュール(明日は最後の稽古休み)立てて、ふうと溜息ひとつついて、酒飲んで寝る。今日の教訓、心配ごとは一気に解決しようとしない。ひとつづつ片付けていく。基本を忘れないことだな、と。あと、意地は絶対はらない。最初から大変なことはわかっているのだから、自分ひとり背負い込まず、人にまかせることはまかせる。今回、早々とそういうツッパリを捨てたので助かった。

2日
食べたもの。朝:レタスと筍のオイスターソース炒め(昨日と同じ)、焼きタラコ(見事なタラコ)。卵豆腐の冷や汁。昼:コンビニのチキンバーガー。くたびれているときはこういうものが旨く感じる。夜:660円の牛肉赤身のステーキ(1000円移譲する霜降りより、これが一番の好み)、レタスとタモギタケ、ソーセージのスープ煮。ミニトマトワンパック。黒発泡酒、黒ホッピー。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa