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2011年5月9日投稿

神保町シアターミステリ映画特集(トークゲスト決定!)

友人たちとやっている映画上映企画グループ、奇想天外シネマテーク
企画協力して、本格ミステリ作家クラブ10周年企画ミステリ映画大
上映企画
が、6月4日から神保町シアターにて開催されます!

共同プロデューサーは森江春策シリーズでおなじみの芦辺拓氏。
上映初日(6月4日)は私と、その後は芦辺氏と豪華ゲストとの対談も順次
予定されています。
6月4日・土(5:45からの『三本指の男』上映後)芦辺拓×唐沢俊一
6月11日・土(5:45からの『死の十字路』上映後)芦辺拓×辻真先
6月19日・日(5:45からの『「空白の起点」より女は復讐する』上映後)
芦辺拓×有栖川有栖×北村薫
6月25日・土(5:45からの『死者との結婚』上映後)芦辺拓×京極夏彦)

滅多に観られぬレア作品がいっぱい! この機会に是非、御覧下さい!

(ごあいさつ)芦辺拓
「探偵はみんな集めてさてと言い」――巨匠・横溝正史氏の作と伝えられる
川柳です。ミステリ読者にはおなじみの、待ってましたと声をかけたくなる
シーンですが、みなさんはこの一句に象徴されるトリックたっぷり、謎解き
どっさりの物語が、わが国のスクリーン上でも展開されていたことをご存じ
でしょうか。決して相性はよくないとされてきた本格推理と映像、とりわけ
日本映画にも、探せばこんなにもたくさんの秀作があったのです。
 このジャンルに病みつきの連中ばかりが集まった本格ミステリ作家クラブ
の十周年を記念し、映画ファンと推理ファンの両方にお届けする特別企画。
颯爽と登場する名探偵たちにどうか盛大な拍手を!

上映予定作品
・タイムテーブルは劇場のHPにてご確認ください
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/index.html

◆6月4日(土)〜6月10日(金)
1・三本指の男(47年 東映) 松田定次監督
戦後ミステリの幕を開いた『本陣殺人事件』の映画化。金田一耕助が
民主主義の使者として密室の謎を解く。原作を読んでいれば驚倒必至。
原節子の眼鏡っ娘ぶりも必見!

2・獄門島(49年 東映)松田定次監督
千恵蔵金田一、今度は瀬戸内海の島へ。陰鬱な雰囲気のもとで起きる
三人娘の連続殺人。眼鏡っ娘助手は喜多川千鶴。ラストでいきなり哄
笑し、駆け回る名探偵に驚くな!

3・三つ首塔(56年 東映)松田定次監督
ちょっと太ってきた千恵蔵による金田一物最終作。眼鏡っ娘助手は高
千穂ひずる。莫大な遺産をめぐる連続殺人に巻きこまれた美少女・音
禰に扮する中原ひとみに萌えろ!

4・悪魔が来りて笛を吹く(79年 東映)斎藤光正監督
原作者による「この作品だけは映画化したくなかった」というCMが
公開当時流行ったが実は54年に片岡千恵蔵で映画化済み。西田金田一
の推理ぶりや如何に。

5・悪魔の手毬唄(61年 東映)渡辺邦男監督

金田一耕助役に高倉健を迎え、脚本の結束信二は原作を読まなかった
という異色篇。健さんの名探偵は寡黙でも不器用でもないが、本作で
も眼鏡っ娘の探偵助手は健在だ!

6・吸血蛾(56年 東宝)中川信夫監督
コートに身を包んだ池部良がハリウッド風な金田一を演じ、怪談映画の
巨匠・中川信夫がムードを盛り上げる。バラバラ死体のラインダンスと、
意外(?)な犯人に驚愕。

7・本陣殺人事件(75年 ATG)高林陽一監督
70年代の横溝ブームは、実はこのATG映画から始まった。ジーンズ姿
のヒッピー金田一はまさに同時代に甦った名探偵。田村高廣・高沢順子
の異様な兄妹像が印象的。

◆6月11日(土)〜6月17日(金)
8・死の十字路(56年 日活)井上梅次監督
巨匠乱歩と渡辺剣次の合作によるサスペンスで、ヒッチコックなどの影響
を受け、この分野に挑戦した意欲作。偶然が綾なすドラマを曲者出演陣が
名演もしくは怪演する。

9・蜘蛛男(58年 大映)山本弘之監督

原作は江戸川乱歩が大衆向けに転じた第一作。明智探偵は藤田進だが、自
らもミステリマニアだった岡譲司の怪演が全て。ラストのパノラマ地獄ま
で驚き、そして呆れよ!

10・影の爪(72年 松竹)貞永方久監督

M・モンローの初主演作『ノックは無用』の原作者S・アームストロング
の作品の翻案。どちらも悪女ものだが岩下志麻とモンローの悪女競演、勝
負はいずれに?

11・誘拐(62年 大映)田中徳三監督

誘拐ミステリに法廷物を絡めて新生面を拓いた高木彬光作品が原作。「天
国と地獄」の前年に作られてた隠れた傑作。宇津井健扮する百谷弁護士と
ともに意想外の展開を追え!

12・最後の審判(65年 東宝)堀川弘通監督

仲代達矢と須賀不二夫を比べるとどうしても仲代の方がエリートぽく見え
るが、本作では須賀がエリートの兄に扮して仲代に脅迫される。異色のキ
ャスティング?

13・南郷次郎探偵帳・影なき殺人者(61年 新東宝) 石川義寛監督

こちらも怜悧冷酷な役柄が十八番の天知茂がが珍しく明朗な弁護士探偵を
演じた異色のキャスティング。弁護士にはちょっと見えないがそこはまあ
ご愛嬌。

14・猫は知っていた(58年 大映)島耕二監督
仁木悦子の江戸川乱歩賞受賞作の映画化。仁木多鶴子扮する女子大生探偵
が原作以上の活躍を見せ、“日本のクリスティ”の名にふさわしいきめ細や
かな謎解きを披露する。

◆6月18日(土)〜6月24日(金)

15・悪魔の囁き(60年 新東宝)内川清一郎監督
短波無線機を駆使し衆人環視下で行われる身代金取引。「天国と地獄」の
あのトリックが八年も早く使われていた? 被害者を操る謎の声はドクロ
ベエこと滝口順平!

16・四万人の目撃者(60年 松竹)堀内真直監督

野球というミステリにしにくい題材に挑んだ映画にしにくい原作を、正面
から堂々と映画化した異色作。三井弘次の文字通りの怪演も見どころのひ
とつ。

17・私を深く埋めて(63年 大映)井上梅次監督

探偵役は田宮二郎扮する弁護士・中部だが、彼自身が事件に巻き込まれ、
ストーリィは二転三転。観客にも情報が与えられないところがサスペンス
フル!

18・猟人日記(64年 日活)中平康監督

シャンソン歌手にして作家という顔を持つ作者が、何と自らのベストセラ
ーの映画化に準主役で登場。漁色家の手記にまつわる連続殺人をスタイリッ
シュに描くは中平康。

19・真昼の罠(62年 大映)富本壮吉監督

出世欲にかられた男、という田宮二郎十八番の役であるが、本作では利用
していた女の殺人事件に巻き込まれる。あたふたする田宮二郎というのは
珍しい見物。

20・肌色の月(57年 東宝)杉江敏男監督

モダン派・久生十蘭の遺作を乙羽信子主演で映画化。地味な原作をそれに
忠実に地味に映画化したことで、逆にミステリー性が際立った佳作となっ
ている。

21・『空白の起点』より・女は復讐する(66年 松竹)長谷和夫監督
笹沢佐保原作が描いた女の悲しさを川口小枝が見事に体現。天知茂もすっ
かり食われてしまった感。ちなみに、天知の同僚役の原知佐子は実相寺
昭雄夫人でもある。

◆6月25日(土)〜7月1日(金)

22・多羅尾伴内 十三の魔王(58年 東映) 松田定次監督

千恵蔵の多羅尾伴内シリーズ初のカラー作品。楽しげに探偵ごっこをくり
広げる豪華俳優陣や、松田監督ならではのチャンバラのように華麗な銃撃
戦は映画の楽しさ満載!

23・死者との結婚(60年 松竹)高橋治監督

松竹ヌーベルバーグ調で撮ったミステリ映画。アンニュイなムードが全編
を覆い。小山明子のもつ乾いた魅力が印象に残る。脚本の田村孟がつけた
台詞回しも独特。

24・奴が殺人者だ(58年 東宝)丸林久信監督

麻薬Gメン映画。主役の佐藤充も熱演だが、輪をかけて天本英世のヤク
中演技が凄い。他にガス人間と電送人間の刑事コンビとか歌う加藤春哉と
か、見所満載!

25・多羅尾伴内 二十一の指紋(48年 大映)松田定次監督
“七つの顔の男”シリーズ第三弾。焼け跡だらけの街やバラック村を背景に、
戦前からの特権階級がたくらむ犯罪とは。特撮も何もなしの千恵蔵の“変身”
シーンにも注目。

26・乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件(82年TV版 円谷プロ)佐藤肇監督
探偵小説の楽しさを存分に味わわせてくれる伝説のテレフィーチャー。松
田優作主演の東宝映画版では、予算の関係で削られた巨大迷路が登場する
のはさすが円谷プロ!

27・恐怖の時間(64年 東宝)岩内克己監督

エド・マクベイン原作『天国と地獄』で犯人役だった山崎努が、同じマク
ベイン原作のこの作品でも犯人役。主役の加山雄三が全然活躍しないとこ
ろが逆に面白い!

28・姿なき目撃者(55年 東宝)日高繁明監督

不倫と嫉妬の濃ゆい四角関係(キャストに注目)に、今ではどこにもなさ
そうな浴槽と写真マニアの子供を配した佳篇。この時代ならではの小品ミ
ステリの風味が楽しい。

※他にも上映したかった作品(意外な犯人、という意味でのキャスティ
ングの傑作『三十六人の乗客』とか、意外な名探偵、という意味での
キャスティングの傑作『幽霊列車』とか、同タイトルで岡本喜八がその
おなじみスタイルの演出をやりすぎなまでにやって遊んでいる赤川次郎
原作のテレフューチャー『幽霊列車』とか、江戸時代を舞台にした本格
推理映画『昨日消えた男』とか)あったのですがそれは次の機会にて。
みなさん、続編募集の声を神保町シアターに!

Copyright 2006 Shunichi Karasawa