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2009年12月4日投稿

『オールド・フランケンシュタイン』無事終了!

おつきあいのある劇団『あぁルナティックシアター』での
初の脚本・演出作品『オールド・フランケンシュタイン』、
無事全公演終了いたしました。

おいで下さった方々と、協力してくれたスタッフの皆様、
そして出演者の皆さん、本当にありがとうございました。

思い掛けない方からお褒めの言葉をいただいて、暗中模索で
書いていた作品でしたが、私なりのやり方でちゃんと舞台が
作れる、ということを確認でき、大変嬉しく思っています。

千秋楽の日に挨拶の中で申し上げたことですが、
この『オールド・フランケンシュタイン』というタイトル、
もちろんメル・ブルックスの『ヤング・フランケンシュタイン』
へのオマージュ、ではあるのですが、実はもうひとつ、意味
があるのですね。

今から16年前、私は映画俳優の潮健児さんのマネージメント
をしていました。そして、『星を喰った男』という本を
書かせていただきました。出版も間近に迫ったある時、
潮さんはその少し前に俳優養成学校で講師をしていらしたのですが、
そこの教え子さんたちから、潮さんの出版を記念して、
潮さんを主役にした舞台をやりたい、唐沢さん、脚本を
書いてくれませんか、と電話があったのです。

私は二つ返事で引き受け、とりあえず、タイトルだけ、
『オールド・フランケンシュタイン』とつけました。
ヒーローもので怪人を作り出す科学者や悪の幹部をよく演じて
いた潮さんに、このタイトルはぴったりだと思ったのです。
潮さんもその芝居には乗り気になっていましたが、残念ながら
潮さんは本の出版の直後に他界され、芝居の話もお流れに
なってしまいました。それから16年、私の頭の中に、
この『オールド・フランケンシュタイン』のタイトルは
ずっと、書くつもりで書けなかった、幻の舞台脚本として
引っかかっていたのです。ルナの橋沢座長から何か書いて
みない? という話をいただいたとき、真っ先に思い浮かんだ
のがこのタイトルでした。もちろん、ストーリィはまったくの
オリジナルですけれど。

実のことを言うと、コントや二人芝居、それからレビュー劇
などの作・演出はこれまでもやったことがあります。
とはいえ、1時間半の本格的演劇を書いて演出するのは
初めての経験。最初は不安もありましたが、やっていくと
こんなに楽しいものはない。いつもルナでこう使われている
役者をこういう風にキャスティングして、ここは客演さん
にこうやらして……と、自分の工夫がいちいち実現して
いくのを見ると、ああ、これは確かに3日やったらやめられ
ないかもしれないな、と理解できたことでした。

ストーリィのミソは、普通、怪物を創造する側である
フランケンシュタイン博士自身を怪物にしちゃったこと。
怪奇キャラとしてイメージが固定している博士の助手・
イゴールを、実はフードをとると美人、という女性キャラ
に設定したこと。そして、劇団キャスティングでは
普通ありえない、若手二人をラスボスとしたこと。
とにかく、出演者全員に見せ場を作ることが一番大変で、
しかし楽しい作業でした。

演出はとにかくテンポをよくして、一個々々のギャグの
受けにこだわらず先に進ませること、場面転換を
ややせわしないくらい多くすること、映画的演出を大胆に
取り入れること、などを目標にしました。演劇畑の
人には驚かれたかもしれませんが、これはせっかく私が
演出するんだから……という、いわば演出家の名刺代わり、
ですね。

おかげさまで好評を得て、来年9月の『ホラリオン3』
でも、一本、また芝居をルナのために書き下ろすことが
決定しました。今回以上のサプライズを盛り込む予定
なので、なにとぞよろしく!

Copyright 2006 Shunichi Karasawa