新刊
2008年8月15日投稿
新刊『血で描く』8月22日発売!
今から10年ほど前、某社の依頼で東雅夫さんがホラー叢書を、
私がサブカル叢書をプロデュースして立ち上げたことがありました。
そのとき、
「せっかく一緒に仕事しているんだから、唐沢さんもホラー小説
を書かない?」
と東さんが勧めてくださって、
その当時貸本マンガへのツッコミ本を何冊か出していたので、
それをネタにストーリィをざっと考えて提出したら、
「おもしろい。これ、行きましょう」
ということになったのです。
ところが、叢書立ち上げからわずか数ヶ月で、その某社の社長(当時)
がトンデモない理由でいきなりこのシリーズを打ち切り、
すでに原稿が上がっていたり進行中だったりしたものも含めて
すべて中断せよ、と言い出したのです。
東さんと二人、さんざその会社の悪口を言い合いましたが
もう、どうしようもない。
他の出版社に企画を振り替えるなどテンテコマイをしているうちに
私の方はすっかり、小説書き下ろしのことなど忘れてしまって
いました。
そして10年。
ふと、ある評論の企画を思いついて、怪談がらみのことだったので
東さんのやっている『幽』のところがいいだろう、と思い、
メディアファクトリーさんに企画を持ち込んでみました。
そしたらそのときの東さんの回答が
「それよりも、書く書くと言っときながら放ったらかしに
してあるあの小説はどないなっとんじゃワレェ(大意)」
というもので、私はビックリ仰天、
「わ、生きてましたか(あの企画)!」
と叫んだものです。
ゾンビが墓場からよみがえったようなものでした。
すっかり忘れていたストーリィをもう一度、プロットにオコして
東さんに提出すると、このままで結構という返事。
さっそく書き始めると、案外楽しく最後まで書き進められましたが
10年間暖めていた(?)アイデアで本を書くというのは初めての
経験でした。
もちろん、小説家としてはずぶの素人同然の私、本を書くからには
何か、内容以外に人を驚かせるアイデアが必要です。
そこで、河井克夫さんにご協力をあおぎ、快諾していただきました。
小説の中に貸本マンガが組み込まれ、さらにその中に……という、
ちょっと珍しい構成と凝ったデザインになっています。
これ、言うのは簡単ながらやってみると意外に難しい作業で、
装丁の井上則人くんもかなり凝ってくれて、その分、DTPの
人が悲鳴をあげていたという噂も(笑)。
と、いうわけで本当は40歳で書くはずだった小説、10年遅れで
やっと刊行されます。よろしく!
読み返してみると、時代設定は現在の08年なのに、微妙に
作品中の雰囲気が98年ぽいのがご愛嬌。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/484012406X/karasawashyun-22
著者: 唐沢俊一
河井克夫
出版社:メディアファクトリー
定価:1499円